いいえ。過剰摂取は、健康に悪影響を及ぼす恐れがあります


体によい食べ物だからといって、いくら食べてもいいわけではありません。食べる量や組み合わせなどに気をつけていらっしゃる方も多いことでしょう。

バストアップの効果が期待される食べ物に関しても同様です。摂取する栄養素の量や質などによっては悪い影響を与えることになるので、注意しなければなりません。

バストアップに効果があるといわれる代表的な栄養素が、筋肉や皮膚、血液などをつくる「タンパク質」です。

乳房を支えるクーパー靭帯の主成分コラーゲンも、タンパク質の一種なので、その点でもタンパク質はバストアップに必要な栄養素だといえるでしょう。

良質なタンパク質である大豆は、乳腺の成長に欠かせないエストロゲンと似た働きをするイソフラボンを多く含んでいるため、胸を大きくしたい女性に大豆製品の摂取が推奨されることがあるかもしれません。

しかし摂取量が多すぎると、乳がん発症や再発のリスクを高めたりする可能性があります。

その他にも、過剰摂取によって健康に害を及ぼす恐れがある成分を含む食品やサプリメントもあるので、安易に摂取をするのではなく、バランスのよい食生活を心がけましょう。

女性ホルモンはバストアップに影響を与えます

体のさまざまな器官や組織をコントロールするホルモンの中でも、女性特有の体つきや妊娠、出産などに関係し、体や心に影響を与えるのが「女性ホルモン」で、「プロゲステロン」と「エストロゲン」の2種類があります。

プロゲステロンは、黄体ホルモンともいい、受精卵が子宮内膜に着床しやすいように整えて、妊娠を継続させます。

水分を体の中にため込む性質があるので、プロゲステロンが乳腺に働きかけると、乳腺と乳腺の間が水を含んだ状態になり、生理前に胸が張ったように感じるのはこのためだといわれています。

エストロゲンは、卵胞ホルモンともいい、髪や肌の潤いを守り、女性らしい体づくりを助けます。12歳前後に分泌量が増えると初潮を迎え、思春期には乳房の成長や子宮の発育などを促します。

乳腺を増殖させる作用もあるので、分泌量が増加すると乳腺が発達して脂肪も増え、胸が大きくなります。

妊娠中から出産が終わるまで、エストロゲンは多量に分泌されるので、思春期と同様、乳腺が発達してバストアップにつながります。

女性ホルモンは生理の周期ごとに分泌量の増減を繰り返しますが、30代後半になると女性ホルモンの分泌量は徐々に減少し、閉経前後の更年期には激減します。すると乳腺も委縮して小さくなり、周りの脂肪も減ってしまい、バストのサイズもダウンしていきます。

このように女性ホルモンは増減しながら女性の体に一生、影響を与え続け、バストのサイズもそれに伴い変化していきます。

バストのサイズをアップさせるために安易に女性ホルモンを増やそうとすると、体にダメージを与えかねないので、女性ホルモンの分泌促進は慎重に行ってください。

大豆イソフラボンの摂取はほどほどにしましょう


大豆に含まれる大豆イソフラボンは、化学構造がエストロゲンと似ており、エストロゲン受容体(エストロゲンレセプター)に結合して、人の健康にさまざまな作用をもたらすといわれています。

それは、有益な場合もあれば、害を及ぼす場合もあるので、摂取には注意が必要です。

イソフラボンには、体内のエストロゲンと同じ働きをする作用(エストロゲン作用)と、エストロゲンの働きを弱める作用(抗エストロゲン作用)という、相反する2つの作用があります。

たとえば体内のエストロゲンに影響されて発症するといわれている乳がんに対して予防効果が期待されていますが、それは健康な人がイソフラボンを摂取するとエストロゲンとイソフラボンが拮抗して互いの働きが弱まるからです。

これは有益な作用と考えられます。

しかしエストロゲンが乳がん細胞の中にあるエストロゲン受容体と結びつき、がん細胞の増殖を促す「ホルモン感受性乳がん」の場合、薬剤を使って女性ホルモンを抑えるホルモン療法が行われることがあり、その治療中にイソフラボンを多く摂取すると、治療の効果を妨げる可能性があります。

食品安全委員会によると、妊婦及び胎児・乳幼児・小児については科学的に十分なデータがないことなどから、日常の食事での大豆や大豆食品の摂取にプラスして、長期・継続的に濃縮・強化した大豆イソフラボンを含む特定保健用食品を摂取することは推奨できないとされています。

さらに大豆および大豆製品を過剰に摂取することは、他の食品の摂取量が減ってしまうことにつながる恐れがあるので、大豆だけに偏らないようにしましょう。

アブラナ科の野菜にはバストアップ以外の効果もあります

ブロッコリー・芽キャベツ・キャベツ・カリフラワー・ケール・小松菜・青梗菜・カブ・白菜・ルッコラ・からし菜・西洋ワサビ・大根・ワサビ・クレソンなど、アブラナ科の野菜は身近にたくさんあります。

これらに含まれるホウ素は、英名「ボロン」で、エストロゲンの働きを活性化させるので、バストアップに効果があるといわれるようになってきています。

それから、抗がん・抗炎症・抗酸化活性の作用がある「イソチオシアネート」も多く含まれています。

バストアップの効果が期待でき、がんを予防する、といわれるとたくさん摂取したくなりますが、たとえばキャベツだけでバストアップの効果を得るためには、1日約1玉を食べなければならない計算になり、現実的ではありません。

さらに他の成分がホルモンバランスの乱れなどの弊害をもたらすこともあります。

たとえば「インドール3カルビノール」という含有成分は、男性ホルモンであるテストステロンの分泌を促すので、結果的にエストロゲンを減少させることになる可能性があります。

またアブラナ科の野菜には、甲状腺を腫れさせる物質(ゴイトロゲン)もあるので、甲状腺の機能が低下している場合、大量摂取はやめた方がよいかもしれません。

とはいえ野菜は食物繊維やビタミン、ミネラルが豊富に含まれており、健康促進に必要な食物です。

適度な量を摂取すれば問題ないので、バストアップだけでなく、他の作用も視野に入れて摂取するようにしましょう。

プエラリア・ミリフィカを含む健康食品には要注意


バストアップをうたっている健康食品によく配合されている「プエラリア・ミリフィカ」のことをご存知ですか?プエラリア・ミリフィカとは、タイなどに分布する、マメ科のクズと同属の多年生つる植物です。

その中には、「デオキシミロエストロール」や「ミロエストロール」など、イソフラボンと同様に植物性エストロゲンの成分が含まれています。

しかしプエラリア・ミリフィカは、大豆イソフラボンなどよりも約1000~10,000倍強いエストロゲン活性を持ち合わせているといわれています。

エストロゲンとプロゲステロンは、どちらが多いからよいというのではなく、バランスよく、双方が分泌量を変えながら一定の月経周期を保っています。

プエラリア・ミリフィカの摂取によってエストロゲンが常に過剰になってしまうと、ホルモンバランスが崩れてしまいます。

そのせいで、腹痛・嘔吐・下痢などの消化器障害やじんましんなどの皮膚障害、月経不順や不正出血などの健康被害を招いたという事例が全国の消費生活センターなどにも報告されています。

厚生労働省によると、オーストラリアやニュージーランド、EUではプエラリア・ミリフィカの安全性評価に関する情報は確認できていないとされています。

また韓国では食品への使用が禁止されるなど、諸外国でも摂取量の制限や使用に対する注意喚起が行われています。

現在、プエラリア・ミリフィカを含む食品が「健康食品」として日本国内で流通しており、その取り扱いについては食品衛生法の規制の対象となっています。

もしも、プエラリア・ミリフィカを含む健康食品やサプリメントを摂取して体調に異常を感じた場合は、すぐに摂取を止め、かかりつけの医師に相談しましょう。

ビタミンはホルモンバランスを整えるサポーター

ビタミンは、人が健全に成長し、健康を維持させる働きがあり、ホルモンバランスを整える手助けをしてくれる栄養素でもあります。

体の中でほとんどつくることができないので、食事を通じて摂取する必要があります。

ビタミンB6

マグロ・カツオ・レバー・鶏肉などに多く含まれるビタミンB6は、エストロゲンの代謝に補酵素として働き、女性ホルモンのバランスを整える働きがあります。

また月経前症候群(PMS)の症状をやわらげたり、妊娠中につわりの症状を緩和したりする効果があるといわれています。

ビタミンB6は水溶性ビタミンであり、体内に蓄積することができないので、食事から摂りすぎることはありませんが、サプリメントなどからも摂取する場合は過剰摂取に注意が必要です。

ビタミンB群(ビタミンB1・B2・B6・B12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン)は互いに助け合って機能するので、一つだけ大量摂取すると他のB群の欠乏を引き起こす可能性があります。

B6だけでなく、他のビタミンも摂取するようにしましょう。

ビタミンE

うなぎやナッツ類、アボカドなどに多く含まれているビタミンEは、卵巣や脳下垂体に直接作用し、女性ホルモンのバランスを整える効果があるといわれています。

ビタミンEは細胞膜の脂質やリポタンパク質(血液中でコレステロールや中性脂肪を運ぶ働きがある)にあり、膜を生成している脂質(不飽和リン脂質)を活性酸素から保護するという働きがあります。

抗酸化作用はビタミンCと一緒に摂ることによって相乗効果が得られるので、ビタミンCも忘れずに摂取しましょう。

(まとめ)バストアップによいという栄養素はたくさん摂ってもいいの?

1. いいえ。過剰摂取は、健康に悪影響を及ぼす恐れがあります

バストアップに効果があるといわれる大豆は、乳腺を成長させるエストロゲンと似た働きをするイソフラボンを多く含みます。

過剰摂取により健康に害を及ぼす恐れがあるので、バランスのよい食生活を心がけましょう。

2. 女性ホルモンはバストアップに影響を与えます

エストロゲンは乳腺を増殖させるので、分泌量が増加すると、乳腺が発達して脂肪も増え、胸が大きくなります。

安易に女性ホルモンを増やそうとすると、体にダメージを与えかねないので、慎重に行ってください。

3. 大豆イソフラボンの摂取はほどほどにしましょう

イソフラボンにはエストロゲンと同じ働きをする作用と弱める作用があり、乳がんの予防が期待される一方、治療を妨げる可能性があります。

大豆を過剰摂取すると他の食品の摂取量が減るので、偏らないようにしましょう。

4. アブラナ科の野菜にはバストアップ以外の効果もあります

アブラナ科の野菜に含まれるボロンはバストアップに効果があるといわれ、イソチオシアネートは抗がんなどの作用があるといわれますが、大量摂取するとホルモンバランスの乱れなどの弊害をもたらすことがあります。

5. プエラリア・ミリフィカを含む健康食品には要注意

プエラリア・ミリフィカには大豆イソフラボンなどよりも約1000~10,000倍強いエストロゲン活性を持ち合わせているといわれており、摂取することでホルモンバランスが崩れ、健康被害を招いた事例もあります。

6. ビタミンはホルモンバランスを整えるサポーター

マグロなどに多く含まれるビタミンB6は、エストロゲンの代謝に補酵素として働きます。

うなぎなどに多く含まれているビタミンEは、卵巣や脳下垂体に直接作用し、ホルモンバランスを整える手助けをしてくれます。